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店舗設計と建築基準法の関係とは?用途変更・内装・建築確認の注意点を解説

店舗設計と建築基準法の関係とは?用途変更・内装・建築確認の注意点を解説

店舗を開業・改装するときは、デザインやレイアウトだけでなく、建築基準法に適合する計画になっているかを確認する必要があります。

  • テナントを店舗にすると用途変更が必要なのか
  • 内装工事だけでも建築基準法が関係するのか
  • 物件を契約してから法令上の問題が見つからないか心配

建築基準法の確認事項は、用途や建物規模、階数、構造、工事内容などによって変わります。この記事では、2026年8月時点の法令・国土交通省資料をもとに、店舗設計のどの段階で何を確認したいのかを整理します。

店舗設計会社を比較するときの法規対応や施工体制についてはこちらで確認できます。
店舗設計会社の選び方ガイド|比較の視点と見積の落とし穴を解説

店舗設計では「用途・建物・工事内容」を最初に確認する

店舗設計を始める前に確認したいのは、「どんな内装にするか」だけではありません。

まず、次のような物件条件を整理します。

確認項目 主な内容
用途 現在の用途、開業後の用途
建物 延べ面積、階数、構造
場所 所在地、用途地域、地域・地区の指定
工事 内装、間仕切り、増築、大規模な改修など
既存資料 確認済証、検査済証、既存図面など
手続き 用途変更や建築確認の要否

用途地域によって建築できる建物用途には制限があり、建物の用途・規模によって避難や防火などの基準も変わります。現在の建築基準法でも、用途地域による用途制限や、特殊建築物などに対する避難・内装の規定が設けられています。

そのため、物件を契約してから法令を確認するのではなく、候補物件の段階で希望する店舗を実現できるか確認することが大切です。

「建築確認が不要」と「建築基準法が関係ない」は別の話

店舗開業で特に誤解しやすいのが、建築確認と法令適合の違いです。

建築確認とは、一定の建築・改修・用途変更などを行う際に、計画が建築基準関係規定へ適合しているかを工事前に確認する手続きです。

一方、確認申請の対象にならない工事だからといって、建築基準法を無視してよいわけではありません。

たとえば確認申請が不要な用途変更でも、変更後の用途に応じて避難、防火、換気、用途地域などの規定を確認する必要があります。

「確認申請が不要=自由に改装できる」ではないと覚えておきましょう。

個別物件の判断が難しい場合は、建築士のほか、特定行政庁や指定確認検査機関へ確認します。

用途変更では「200㎡」だけで判断しない

用途変更とは、既存建築物の使い方を別の用途へ変更することです。

たとえば、もともと別用途だったテナントを飲食店や物販店などとして利用する場合、用途変更に該当する可能性があります。

2019年6月25日施行の改正では、200㎡以下の建築物を他用途へ転用する際の建築確認手続きが不要となりました。現在の建築基準法でも、別表第一に掲げる特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超えるものが建築確認の対象となっています。

ただし、ここだけを見て、

「200㎡以下なら用途変更を気にしなくてよい」

と考えるのは適切ではありません。

確認申請の要否は、変更前・変更後の用途や面積、類似用途間の変更かどうかなどを踏まえて判断します。さらに、申請が不要でも変更後の用途に適用される建築基準法への適合は必要です。

200㎡は「建築基準法が適用されるか」の境目ではなく、用途変更に伴う確認手続きを考えるうえでの基準の一つです。

店舗の内装工事にも建築基準法が関係する

「建物本体は触らず、内装だけ変えるから問題ない」とは限りません。

店舗内の壁や天井、間仕切り、扉などを変更すると、避難経路や排煙、防火、換気などに影響する場合があります。

たとえば、次のような部分です。

  • 間仕切りを増やして避難経路が変わる
  • 壁や天井の仕上げ材を変更する
  • 出入口の位置や扉を変更する
  • 窓をふさぐ
  • 天井まで届く壁を新設する
  • 厨房など火を使用する場所をつくる

建築基準法では、建物の用途や規模などに応じて、廊下・階段・出入口、排煙設備、非常用照明などに関する基準が設けられています。また、特殊建築物や一定の建築物、火を使用する室などでは、壁や天井の仕上げに内装制限がかかる場合があります。

内装材や間取りはデザインだけで決めず、法令条件と合わせて検討することが必要です。

防火・避難・換気は店舗ごとの条件で確認する

店舗設計で特に確認したいのが、防火や避難に関する条件です。

防火・内装制限

壁や天井に使用できる材料は、建物用途や規模、階数、居室の条件、火を使用する設備などによって制限される場合があります。

「飲食店ならすべて不燃材が必要」など、一律には判断できません。

仕上げ材を選ぶ前に、どの範囲にどの基準が適用されるかを確認します。

避難経路・階段・出入口

店舗から安全に避難できるよう、出入口、廊下、階段、避難距離などの確認も必要です。

テナント内だけでなく、共用廊下や建物全体の階段などが関係する場合もあります。

つまり、店舗の中だけ工夫すれば解決できるとは限りません。

採光・換気・排煙

採光に関する基準は用途や居室の種類によって異なります。一方、建築基準法では居室の換気について基準があり、一定の火気使用室についても換気設備が求められます。

間仕切りの追加や窓の変更によって条件が変わる場合もあるため、内見時から窓や換気・排煙設備の状況を確認しておきましょう。

飲食店は建築基準法だけで判断しない

飲食店では、厨房や火気設備を設けるため、物販店などとは異なる設備条件が加わります。

確認したいのは、

  • 厨房
  • 排気・換気
  • 給排水
  • ガス・火気
  • 防火
  • グリストラップ
  • 臭気への対応

などです。

ただし、これらはすべて建築基準法だけで決まるものではありません。

消防法では、防火対象物の用途や規模、構造、収容人員などに応じて、消火器や自動火災報知設備、避難設備などの設置が求められます。

飲食店であれば、さらに食品衛生法に基づく営業許可や自治体の施設基準なども確認します。

整理すると、

  • 建築基準法:建物・用途・避難・内装・換気など
  • 消防法:消防用設備、防火管理など
  • 食品衛生法:飲食店営業の施設基準・営業許可など
  • 自治体条例:地域ごとの追加ルール
  • 施設ルール:商業施設やビル独自の設計・工事条件

というように、別々のルールを並行して確認する必要があります。

店舗開業全体の支援先については、店舗開業のサポート会社はどこに頼む?でも解説しています。

2025年4月の改正と用途変更の200㎡基準は別に考える

建築基準法は改正されるため、数年前の記事をそのまま参考にすると現在の制度と合わない場合があります。

特に注意したいのが、2025年4月1日に施行された建築確認・検査対象の見直しです。

現在は、構造を問わず、階数2以上または延べ面積200㎡超の建築物について確認対象が見直され、都市計画区域等の外でもこれらの建築物が建築確認の対象となりました。また、一定規模の建築物の大規模な修繕・模様替についても確認手続きの対象が見直されています。

これは、2019年の用途変更に関する「200㎡以下の転用で確認手続きを不要とする改正」とは別の見直しです。

「200㎡」という数字だけを拾わず、用途変更なのか、新築・増改築なのか、大規模な修繕・模様替なのかを分けて確認することが重要です。

物件契約前に法令確認をしておく

物件契約前に法令確認をしておく

店舗物件では、立地や賃料、広さが希望に合っていても、法令や建物条件によって計画を変更しなければならない場合があります。

たとえば、

  • 希望する用途への変更に追加対応が必要になる
  • 避難条件からレイアウトを変更する
  • 必要な排気設備を設置できない
  • 防火・内装上の追加工事が必要になる
  • 共用部の階段や避難経路が計画に影響する
  • 確認申請などで開業までの期間が延びる

といった可能性があります。

そのため、物件候補が決まった段階で、既存図面や確認済証・検査済証の有無、現在の用途、設備などを確認しておくと計画を進めやすくなります。

商業施設の場合は、法令に加えてA工事・B工事・C工事など施設側の工事区分も確認しましょう。

A工事・B工事・C工事の流れとポイントを解説
商業施設やテナントビルでの工事区分について詳しく確認できます。

店舗設計と建築基準法に関するよくある質問

内装工事だけでも建築基準法は関係しますか?

関係する場合があります。間仕切り、壁・天井材、避難経路、換気・排煙などに影響する工事では法令条件を確認します。

用途変更とは何ですか?

既存建物の用途を別の用途へ変更することです。変更後の用途や面積などによって建築確認が必要になる場合があります。

小さい店舗なら用途変更の確認申請は不要ですか?

面積だけでは判断できません。現在の用途、変更後の用途、変更する部分の面積、類似用途かどうかなどを確認します。

確認申請が不要なら自由に改装できますか?

できません。確認申請が不要でも、建築基準法や消防法など適用される基準には適合する必要があります。

居抜き物件でも法令確認は必要ですか?

必要です。前店舗で使用できていた設備や内装でも、新しい業態や改装内容によって確認条件が変わる場合があります。

建築基準法と消防法は何が違いますか?

建築基準法は建物の敷地・構造・設備・用途などについて定める法律です。消防法では、用途や規模などに応じて消防用設備や防火管理などが定められています。

設計会社にはいつ相談すべきですか?

物件候補が決まった段階、できれば賃貸借契約前から相談すると、法令や設備条件を店舗計画とあわせて確認しやすくなります。

* 物件選定から設計・施工、開業までの流れを確認したい方へ。
店舗出店の流れが分かる!計画から開店までの全工程と進め方

* 法令以外も含めて店舗開業の準備全体を整理したい方へ。
店舗開業の準備を徹底解説|やるべきことリストと進め方のポイント

* 商業施設やテナントビルでの工事区分を確認したい方へ。
A工事・B工事・C工事の流れとポイントを解説

まとめ|店舗設計は物件を決める前から法令条件を確認する

店舗設計では、デザインを具体化してから法令を確認するのではなく、用途や建物条件、設備、工事内容を先に整理することが大切です。

特に用途変更や大きな改修が想定される場合は、確認申請の要否だけでなく、変更後の店舗が必要な基準へ適合できるかまで確認しましょう。

リスビーでは、物件選びの段階から相談を受け、企画・設計・デザイン・施工まで一貫して店舗づくりに対応しています。

「物件を契約したあとに条件が分かるのは避けたい」「法令や設備条件も含めて店舗計画を検討したい」という場合は、早い段階から店舗設計・施工についてご相談ください。

参考サイト

※建築確認や用途変更の要否、各規定の適用は、建物の用途・規模・階数・構造・所在地・工事内容などによって異なります。具体的な物件については、建築士、特定行政庁、指定確認検査機関などへご確認ください。

ABOUT ME
【監修 : 加藤 弦 株式会社リスビー代表取締役】
オフィス移転や内装設計において豊富な実績を持つ。物件選びから施工までを一貫してサポートする独自の「リ・プロローグ」サービスを展開し、特に移転前のリスクを見極める力や、顧客視点に立った柔軟な提案を得意とする。 「お客様の未来を形にする」を信念に掲げ、多くの企業から信頼を獲得。効率的かつ快適なオフィス環境の実現を通じて、企業の成長を支援することを目指しています。