店舗デザインの事例を探していると、目を引く内装やおしゃれな写真に注目しがちです。しかし、自店舗に取り入れるなら「なぜそのデザインになったのか」まで見ることが大切です。
- おしゃれ以外に何を基準にすればよいのか
- 飲食店や物販店の事例から何を学べるのか
- 気になるデザインを自分の店舗にも取り入れられるのか
この記事では、オフィス・ショップ・ビルの空間演出事業会社・リスビーの施工事例を実際に見ながら、空間の工夫とその考え方を整理します。完成写真をそのまま真似するのではなく、自店舗の課題を解決するヒントとして活用してみてください。
店舗デザインの基本や費用、進め方から確認したい方はこちらをご覧ください。
店舗デザインの基本ガイド|内装・外装設計のポイントと費用・会社選びを徹底解説
店舗デザインの成功事例に共通するのは「デザインする理由」があること
店舗デザインは、見た目の好みだけで決めるものではありません。
ターゲット、商品・サービス、店舗コンセプト、滞在時間、スタッフの働き方、物件条件などを踏まえ、「この店舗で何を実現したいのか」から考える必要があります。
たとえば同じ木目を使う場合でも、落ち着きを感じてもらいたいのか、商品を引き立てたいのかで使い方は変わります。
成功事例を見るときは「何を使っているか」より、「何のためにそうしたのか」を見ましょう。
では次の章では一例として、店舗の条件や狙いに合わせて工夫されたリスビーの設計・施工事例をご紹介します。
(なお、ここでいう成功事例は、デザインによって売上や集客が伸びたことを保証するものではありません。)
飲食店の事例|60㎡でも間口と素材で空間の印象を整える
そば処 晋様は、大阪府にある施工面積60㎡の飲食店舗です。リスビーが企画・デザイン・設計・施工まで担当しました。黒と明るい木目のコントラストを使い、高級感と落ち着きのある空間に仕上げました。また、入口に間仕切りを設けず、オープンな間口とすることで、狭い店舗ながら広がりを持たせています。
この事例で参考にしたいのは、単純に「狭いから明るい色にする」という発想ではありません。
黒を取り入れながらも、明るい木目との組み合わせや入口の開放感によって、店舗全体の印象を整えています。
小規模な飲食店では、客席数だけでなく、
- 店外から店内がどう見えるか
- 厨房と客席をどう分けるか
- スタッフが配膳しやすいか
- 収納を確保できているか
- 店舗コンセプトと素材が合っているか
なども一緒に考える必要があります。
面積が限られている店舗ほど、色・素材・間口・動線を別々に考えないことが大切です。
小規模店舗の具体的な内装アイデアについては「小規模店舗の内装アイデアの記事」で詳しく紹介します。
物販店の事例|店舗ごとの広さが違ってもブランドをつなぐ
リスビーではDAISO(ダイソー)様の関東・関西・中部地方などの店舗で設計・施工し、新装・改装に加えてメンテナンスも行っています。
施工面積は150~1,500㎡と幅があることでも分かるように、多店舗の物販店では、すべての区画が同じ広さ・形状になるとは限りません。
そのため、
- 基本となる什器
- サイン
- 照明
- 売場の考え方
- 設備仕様
など、共通化できる部分を整理しながら、区画の形状や面積に合わせて調整する考え方が必要になります。
店舗ごとに一からデザインするとブランドの印象がばらつきやすく、一方ですべてを固定すると物件条件に対応しにくくなります。
多店舗展開では「同じ店舗をつくる」のではなく、「変えない部分と変えられる部分を決める」ことがポイントです。
なお、この施工実績は複数店舗への設計・施工対応を紹介するもので、DAISO様の経営成果と施工との因果関係を示すものではありません。
コンセプトを空間全体へ反映した事例も参考になる
AOI渋谷校様は、施工面積257.3㎡の学習塾です。
白を基調としたシンプルなモノトーンデザインで、公式実績では「統一感のあるすっきりとしたブルックリンスタイルの空間」とされています。企画・デザイン・設計・施工を担当しています。
ここから参考にできるのは、コンセプトを一部分だけの装飾で表現するのではなく、色や素材など空間全体で統一する考え方です。
店舗でも、壁だけブランドカラーにする、目立つ什器だけデザインする、といった方法では全体の印象がまとまらないことがあります。
使う色や素材、サインのルールをある程度絞ることで、店舗としての方向性を伝えやすくなります。
業態によって店舗デザインで見るべきポイントは変わる
成功事例を参考にするときは、自店舗と近い業態を見ると応用しやすくなります。
飲食店は空間と運営を一緒に考える
飲食店では、客席だけでなく厨房、配膳、収納、給排水、換気など多くの要素が関わります。
照明や素材を選ぶ場合も、居心地だけでなく清掃やメンテナンスまで考えておきたいところです。
座席数を増やせばよい、暗くすれば高級感が出る、といった単純な考え方ではなく、業態や客層に合わせて決めます。
物販店は商品が主役になるように考える
物販店では、内装そのものより商品をどう見せるかが重要です。
什器の高さ、商品への照明、壁面、サイン、レジ周辺、ストックなどを合わせて検討します。
商品数が多い店舗では、装飾を増やしすぎると視線が散ることもあります。逆に商品数が少ない場合は、余白を生かした見せ方も選択肢になります。
店舗レイアウトについて詳しくは、店舗レイアウトの考え方も参考にしてください。
小規模店舗では「足す」だけでなく「減らす」ことも考える
小規模店舗では、限られた面積に多くの要素を入れようとすると、かえって窮屈に感じることがあります。
- 色数を増やしすぎない
- 大きすぎる什器を避ける
- 壁面を活用する
- 視線を遮るものを減らす
- 収納を内装と一緒に計画する
- サインや装飾の役割を整理する
といった工夫も有効です。
「広く見えること」と「実際に使いやすいこと」の両方を見ることが重要です。
成功した店舗例を自店舗へ取り入れるときの注意点
気に入った店舗が見つかっても、そのデザインをそのままコピーするのはおすすめできません。
店舗面積や物件形状だけでなく、
- 業態
- 商品・サービス
- 客単価
- 顧客層
- スタッフ人数
- 設備
- 予算
- 法令や施設ルール
などの条件が異なるためです。
SNSで目を引くデザインも、実際の店舗で使いやすいとは限りません。
「この照明が格好いい」だけで終わらせず、「なぜこの場所にこの照明を使っているのか」まで考えると、自店舗への応用方法が見えやすくなります。
店舗デザイン会社は施工事例の「写真以外」も見る
店舗デザイン会社を選ぶときも、施工写真の好みだけで決めないようにしましょう。
確認したいのは、
- 自店舗と同じ、または近い業態の実績があるか
- 店舗規模が近い事例があるか
- デザインの意図が説明されているか
- 設計だけでなく施工まで依頼できるか
- 新装・改装の両方へ対応できるか
- 商業施設や多店舗展開の経験があるか
といった点です。
会社選びについては、店舗設計会社の選び方ガイドで詳しく解説しています。
店舗デザインの成功事例に関するよくある質問
見た目の共通点より、ターゲットや商品、物件などの条件に合わせて設計されていることが重要です。成功事例を見る際はデザインの理由まで確認しましょう。
おしゃれな内装だけで集客を保証することはできません。立地、商品、サービス、価格、認知など複数の要素が関係します。
あります。面積が限られるほど、素材や照明、収納、什器のサイズなどが空間全体の印象や使いやすさに影響します。
考え方や工夫を参考にするのは有効です。ただし、そのままコピーせず、自店舗の条件やブランドに置き換えて考えましょう。
必ずしも同じにする必要はありません。共通するブランド要素を決めたうえで、面積や物件条件に応じて調整する方法があります。
まとめ|店舗デザインは事例を見ながら「自店舗ならどうするか」を考える
店舗デザインの成功事例から学びたいのは、完成した空間の見た目だけではありません。
店舗が抱える条件や課題に対して、色、素材、照明、什器、間口などをどう組み合わせているのかを見ることで、自店舗に必要な考え方が整理しやすくなります。
店舗の設計・施工実績を見る
業態や店舗面積の異なる施工事例を確認できます。
新規出店や改装で「事例を参考にしながら自店舗に合うデザインを考えたい」という場合は、店舗の条件や希望を整理するところからご相談ください。
- 狭い店舗の色・照明・収納などを詳しく知りたい方へ。
小規模店舗の内装アイデア

