店舗デザインを依頼しようと考えたとき、「何をどこまで任せられるのか」「費用や進め方は大丈夫か」と迷っていませんか。
- イメージをうまく伝えられるか不安
- 追加費用や納期トラブルが起きないか心配
- どんなデザイン会社に相談すればよいか分からない
このような不安を感じるのは当然のことです。店舗づくりは、人生の中でそう何度も経験するものではありません。
この記事では、店舗デザインを依頼するときの流れや、よくある失敗、そして信頼できる会社を選ぶためのポイントを、分かりやすく解説します。これらを事前に知っておくことで、安心して準備を進めるための判断材料にしてください。
店舗デザインを依頼するときの基礎知識
店舗デザインを依頼するときの基礎知識店舗デザイン会社の主な業務内容
「店舗デザイン」と聞くと、壁紙の色を決めたり、おしゃれな家具を選んだりして、見た目をきれいに整えることだけをイメージするかもしれません。しかし、デザイン会社の仕事はそれだけではありません。
彼らの最も重要な役割は、あなたのお店の「考え方」や「目的」を、実際の「空間」として形にすることです。
たとえば、「どんなお客さんに来てほしいのか」「そのお店でどんな時間を過ごしてほしいのか」といった根本的なテーマ(コンセプト)を整理します。そのうえで、店内のレイアウト(間取り)を考えたり、照明や素材を選んだりして、完成イメージを作り上げていきます。
具体的には、以下のような作業を行います。
- コンセプトの設計:お店の方向性を言葉や図で整理する
- 内装・空間デザイン:壁、床、天井、照明などの組み合わせを考える
- 図面の作成:工事をするために必要な設計図を書く
- パースの作成:完成した時のイメージを、イラストやCG(コンピュータグラフィックス)で描く
つまり、頭の中にあるぼんやりとしたイメージを、誰が見ても分かる形にするのが彼らの仕事です。
デザインだけで終わらない理由
デザイン会社に依頼するときに注意したいのは、「絵を描いて終わりではない」という点です。どれほど素晴らしいデザイン画ができあがっても、それが実際に工事で実現できなければ意味がありません。
店舗デザインは、実際の「工事(施工)」とセットで考える必要があります。
「この素材はキッチンに使っても法律上問題ないか」
「この場所に壁を作ると、配管や電気の工事はできるか」
「予算内で実現できる材料はあるか」
こうした現実的な条件を無視してデザインだけを進めると、後になって「工事ができない」「予算が足りない」といった問題が発生します。そのため、優れた店舗デザイン会社は、単に絵を描くだけでなく、工事のしやすさや現実性まで見据えて計画を立てます。
店舗デザイン依頼の一般的な流れ
店舗デザインの一般的な流れは下記のとおりです。
- 初回相談・ヒアリング
- コンセプト・条件の整理
- デザイン設計・プラン提案
- 修正・プラン確定
- 詳細設計・見積調整
- 施工準備
- 工事(施工)
- 監理・最終調整
- 完成・引き渡し
初回相談・ヒアリングで行われること
デザインの依頼は、まず担当者と話をすること(ヒアリング)から始まります。ここでは、まだ具体的な図面などがなくても問題ありません。あなたの頭の中にある考えを伝えることが大切です。
主に以下のようなことを話し合います。
- お店のコンセプト:どんな雰囲気のお店にしたいか、どんな商品やサービスを提供するか。
- ターゲット:どんな年齢層や性別のお客さんに来てほしいか。
- スケジュールの確認:いつ頃オープンしたいか。
- 予算:お店づくり全体にかけられるお金はいくらか。
この段階で情報をしっかり共有することで、デザインの方向性が定まりやすくなります。「こんなことを言ってもいいのかな」と思わずに、希望や不安を正直に伝えることが成功への第一歩です。
デザイン設計・提案フェーズ
ヒアリングの内容をもとに、デザイン会社が具体的な案を作ります。これを「基本設計」と呼ぶこともあります。
ここでは、平面図(上から見た間取り図)や、完成予想図(パース)などを見ながら、イメージをすり合わせていきます。
提案されたデザインを見て、「もっとこうしたい」「ここはイメージと違う」といった意見があれば、遠慮なく伝えましょう。修正を重ねながら、納得できるプランを作り上げていきます。
施工・納品までの基本的な考え方
デザインが固まり、詳細な図面ができあがったら、いよいよ工事(施工)の準備に入ります。
デザイン会社によっては、そのまま工事まで一括で引き受ける場合もあれば、工事だけを別の会社に依頼する場合もあります。どちらの場合でも、デザイン会社は「設計図通りに工事が進んでいるか」を確認する役割を担います。これを「監理(かんり)」と呼びます。
工事が始まってからも、現場の状況に合わせて細かい調整が必要になることがあります。完成して引き渡しを受けるまで、デザインと工事がスムーズに連携していることが重要です。
店舗デザイン依頼でよくある失敗例
イメージがうまく伝わらなかったケース
店舗デザインで最も多い失敗の一つが、「完成してみたら思っていたのと違った」というケースです。
たとえば、「落ち着いた雰囲気」という言葉一つでも、人によってイメージするものは異なります。ある人は「暗めの照明で木を使った空間」を想像し、別の人は「白を基調としたシンプルな空間」を想像するかもしれません。
言葉だけで伝えようとすると、こうした認識のズレが起こりやすくなります。
この失敗を防ぐためには、言葉だけでなく「写真」や「画像」を使うのが効果的です。雑誌の切り抜きや、インターネットで見つけた気に入ったお店の画像を見せることで、言葉では伝えきれないニュアンスを共有できます。
修正が増えすぎて納期に影響したケース
デザインを決める過程で、「やっぱりここを変えたい」「あっちも気になる」と修正を繰り返していると、時間がどんどん過ぎてしまいます。
修正に時間がかかると、その後の工事期間が短くなってしまいます。無理なスケジュールで工事をすると、仕上がりが雑になったり、オープン日が延期になったりする原因になります。
「いつまでにデザインを決定しなければならないか」という期限を最初に確認し、その日までに決断することが大切です。また、修正できる回数や範囲について、事前にデザイン会社とルールを決めておくとスムーズです。
デザインと施工が噛み合わなかったケース
デザインの見栄えを優先しすぎて、実際の使い勝手や工事の難しさが後回しになってしまうケースもあります。
「かっこいいカウンターを作ったけれど、店員が作業しにくい高さだった」
「特殊な壁紙を選んだけれど、汚れが落ちにくくて掃除が大変」
「図面通りに作ろうとしたら、建物の構造上無理だと工事当日に分かった」
これらは、デザインをする人が現場の状況や運営のことを十分に理解していなかった場合に起こります。設計の段階から、工事や実際の営業を意識した調整が必要です。
追加費用やトラブルが発生する原因
見積もり範囲が曖昧だった
お金に関するトラブルの多くは、「見積もりに何が含まれているか」がはっきりしていないことから生じます。
たとえば、見積書に「デザイン料一式」と書かれていたとします。これに「看板のデザイン」や「家具の選定費用」が含まれていると思っていたのに、後から「それは別料金です」と言われてしまうことがあります。
また、工事費用の見積もりでも、エアコンや照明器具の本体代金が含まれているのか、それとも取り付け費用だけなのかを確認する必要があります。
契約を結ぶ前に、「この金額にはどこまでの作業が含まれているのか」を一つひとつ確認しましょう。分からない項目があれば、納得できるまで質問することが大切です。
物件条件や工事条件を見落としていた
お店を出す物件(建物)の状態によって、できる工事とできない工事があります。
たとえば、古いビルでは電気の容量が足りず、使いたいオーブンが使えないことがあります。また、排気ダクトのルートが確保できず、キッチンの場所を変更しなければならないこともあります。
こうした物件の条件(制限)を事前によく調べずにデザインを進めてしまうと、途中で計画をやり直すことになります。当然、設計のやり直しや追加の工事費用が発生します。
デザインを依頼する前に、あるいは依頼と同時に、物件の設備状況を店舗づくりのプロに見てもらうとトラブル回避につながります。
店舗デザイン会社を選ぶ際のチェックポイント
自分の業態に近い実績があるか
店舗デザイン会社を選ぶとき、ホームページなどで過去の実績(事例)を見られる方も多いと思います。その際、写真の雰囲気だけでなく、「自分の業態に近い経験があるか」を確認することが重要です。
飲食店と美容室では、必要な設備も法律上のルールも全く異なります。飲食店なら厨房の防水や換気、美容室ならシャンプー台の給排水や電気容量など、専門的な知識が必要です。
また、同じ飲食店でも、カフェと焼肉店では求められる機能が違います。
あなたのやりたいお店と同じような業態の実績が豊富な会社であれば、特有の悩みや注意点を理解しているため、安心して任せることができます。
設計・施工への理解があるか
先ほども触れましたが、デザインは「絵」ではなく「空間」を作る仕事です。そのため、工事(施工)についての知識があるかどうかが、良いデザイン会社を見極めるポイントになります。
「このデザインを実現するには、どのくらい費用がかかるか」
「この素材は耐久性があるか」
といった質問をしたときに、具体的で現実的な答えが返ってくるかを確認しましょう。
特に、デザインと施工を別の会社に分ける場合、デザイン会社が現場のことを理解していないと、工事会社との間でトラブルになりがちです。現場への理解が深いデザイナーは、無駄なコストを抑える工夫も知っています。
相談時の対応や提案姿勢
最初の相談をしたときの担当者の態度からも、その会社の特徴が見えてきます。
一方的に「こうしたほうがかっこいい」と自分の好みを押し付けてくるデザイナーは要注意です。良いデザイン会社は、まずあなたの話をじっくり聞きます。
「なぜお店を開きたいのか」「どんなことに困っているか」といった背景を丁寧に聞き出し、あなたの意図をくみ取ろうとする姿勢があるかどうかが重要です。
また、質問に対して分かりやすく説明してくれるか、リスク(悪い可能性)についても隠さずに教えてくれるか、といった点も判断材料になります。
初回相談・無料相談で確認すべきポイント
初回相談で分かること
多くのデザイン会社では、最初の相談や見積もりを無料で行っています。この機会を活用して、以下の点を確認しておきましょう。
- 全体の流れとスケジュール:依頼してからオープンまで、どのような手順で進むのか。いつまでに何を決めればいいのか。
- 費用の目安:坪単価(1坪あたりの費用)はどれくらいか。設計料の計算方法はどうか。
- 対応範囲:物件探しから手伝ってくれるか、家具の購入代行はできるか、保健所への申請はやってくれるかなど。
具体的な図面がなくても、こうした話をすることで、ぼんやりしていた計画が整理され、やるべきことが明確になります。
相談段階で見極められる相性
店舗づくりは、数ヶ月間にわたって担当者と何度も連絡を取り合うプロジェクトです。そのため、担当者との「相性」は非常に重要な要素です。
相談の段階で「なんだか話しにくいな」「感覚が合わないな」と感じる場合、その後の進行でもストレスを感じる可能性が高いです。技術や実績だけでなく、「この人と一緒にお店を作りたいか」という直感も大切にしてください。
実務に強い店舗デザイン会社の特徴
デザイン・設計・施工を一体で考えられる
「実務に強い」と言われるデザイン会社は、デザイン(見た目)、設計(機能)、施工(作り方)の3つを切り離さず、セットで考えています。
デザインの段階から、「どうやって作るか」「いくらかかるか」を計算しながら進めるため、後になって「予算オーバーで全部やり直し」といった事態になりにくいのが特徴です。
全体を見渡せる会社に依頼することで、無駄な手戻りが減り、結果的に費用や時間を節約することにつながります。
開業・運営まで見据えた提案ができる
店舗のデザインは、お店が完成したら終わりではありません。むしろ、オープンしてからが本番です。
実務に強い会社は、オープン後の「運営」まで考えて提案をしてくれます。
見た目の美しさだけでなく、実際にそこで働く人や利用する人のことを考えた「使いやすさ」や「維持管理のしやすさ」まで配慮されているかをチェックしておきましょう。
まとめ|店舗デザイン依頼は「最初の相談」が成功を左右する
店舗デザインは準備段階で結果が決まる
納得のいくお店ができるかどうかは、依頼する前の準備や、最初の相談段階で大きく左右されます。自分の要望を整理し、信頼できるパートナーを選ぶことが何よりも大切です。
失敗を防ぐには早めの相談が有効
「まだ何も決まっていないから」と遠慮して、一人で悩み続けるのは得策ではありません。むしろ、早い段階でプロに相談することで、物件選びの注意点や予算の配分など、失敗を防ぐためのアドバイスをもらうことができます。
まずは相談から始めるのが現実的
店舗デザインについて不安がある場合は、まずは実績のある会社の無料相談を利用してみるのが現実的です。
複数の会社と話をしてみて、提案内容や担当者との相性を比べてみましょう。そうすることで、自分のお店に合った進め方が見えてくるはずです。
デザイン会社は、あなたの夢を形にするパートナーです。焦らずじっくりと、信頼できる相談相手を見つけてください。

