店舗の新規出店やオフィス移転を検討するとき、設計会社と施工会社を別々に探すべきか、一社にまとめて依頼すべきか迷う方は多いでしょう。
- 設計と施工を分けると、打ち合わせや調整の負担が大きそう
- 一括で依頼すると費用が高くなるのではと不安
- ワンストップのサービスで何ができるのか分からない
この記事では、ワンストップ空間デザインの仕組みと分離発注との違い、一貫依頼のメリットや注意点、会社選びのポイントを解説します。読み終えるころには、自社に合った依頼方法を判断する材料がそろうはずです。
ワンストップ空間デザインとは、企画・設計・施工の工程を一社に一括で依頼できる方式です。この記事では、その仕組みと分離発注との違い、メリット・注意点、会社選びの判断基準、依頼から完成までの流れを順番に解説します。読み終えるころには、自社に合った依頼方法と相談のタイミングが判断できるはずです。
====================

ワンストップ空間デザインとは?企画から施工まで一括で任せられる仕組み
相談窓口と契約先を一社にまとめて進めるサービス
ワンストップ空間デザインとは、店舗やオフィスの空間づくりについて、相談窓口や契約先を一社にまとめ、その会社が企画・設計から施工までを統括する方式です。工事に協力会社や専門業者が関わる場合も、発注者とのやり取りは依頼先の一社に集約されます。
法令などで定義された名称ではなく、対応範囲は会社ごとに異なります。物件選定の支援や完成後の空間演出・メンテナンスまで含むかは、相談時に確認しましょう。店舗・オフィスのどちらでも、一つの窓口で相談が完結しやすい点が特徴です。
分離発注との違い
設計事務所にデザインを依頼し、図面をもとに施工会社へ工事を発注する「分離発注」との違いは次のとおりです。
| 比較項目 | ワンストップ(一貫依頼) | 分離発注 |
|---|---|---|
| 窓口 | 一社に集約 | 設計・施工で別々 |
| 設計と施工の調整 | 依頼先が設計・施工間の調整を統括する | 発注者が間に入ることが多い |
| 費用の調整 | 設計段階から予算に合わせやすい | 見積もり後に設計変更が必要な場合がある |
| 問題発生時の相談先 | 一本化しやすい | 設計・施工どちらの問題か切り分けが必要 |
| 設計の独立性 | 施工側の事情が反映されやすい | 第三者視点で施工をチェックしやすい |
分離発注には、設計者が第三者の立場で施工品質を確認しやすい利点もあり、適否は規模や社内体制で変わります。
ワンストップと分離発注、どちらが向いているか
自社に合う依頼方法は、次の軸で考えると整理しやすくなります。
| 判断軸 | ワンストップが向くケース | 分離発注が向くケース |
|---|---|---|
| 社内の体制 | 進行を担当できる人がいない | 調整役を担える担当者がいる |
| スケジュール | 開店日・移転日まで時間が限られている | 比較検討に時間をかけられる |
| 価格の比較 | 提案を含めた総合評価で選びたい | 同一図面で施工費を競争させたい |
| 設計の独立性 | 設計と施工の連携を優先したい | 第三者チェックを重視したい |
初めての出店や移転でノウハウが少ない場合は、窓口を一本化できるワンストップが有力です。設計の独立性や価格競争を重視するなら、分離発注も検討する価値があります。
ワンストップ空間デザインで企画から施工まで一貫依頼するメリット
窓口が一本化され、やり取りの負担が減る
打ち合わせや調整の窓口が一つにまとまることが分かりやすい利点です。分離発注では、設計会社と施工会社の認識がずれた際、発注者自身が間に入って調整する場面が生じます。本業を続けながら準備を進める担当者にとって、複数社とのやり取りは大きな負担です。窓口が一本化されれば要望を伝える相手が明確になり、情報の行き違いによる手戻りも起きにくくなります。
設計と施工の連携でコスト削減につながりやすい
設計段階から施工の視点が入るため、予算に合わせた現実的なプランを最初から組み立てやすくなります。
- 施工しやすい工事方法や素材を前提にしたデザイン提案
- 既存設備を活かしたレイアウトによる工事範囲の圧縮
- 予算超過が見えた時点での代替案の提示
分離発注で起こりがちな「見積もり後の設計やり直し」を避けられ、時間とコストのロスを抑えられます。ただし必ず総額が安くなるわけではないため、管理費や追加工事を含めた総額で比較しましょう。費用の考え方は内装工事の費用相場はいくら?坪単価・内訳・コストを抑えるコツを解説も参考にしてください。
相談先が一本化され、リスク回避しやすい
不具合が見つかった場合、分離発注では「設計か施工か」の切り分けに時間がかかることがあります。一貫依頼なら相談窓口を一本化しやすく、問題が起きたときに相談先へ迷いにくくなります。設計者と施工者が同じ社内で連携していれば、施工上のリスクを設計段階で指摘しやすく、着工後のトラブルも減らせます。ただし依頼先の責任範囲は契約や保証条件により異なるため、事前に書面を確認しましょう。
デザインの一貫性とスケジュール短縮が期待できる
企画段階のコンセプトを同じチームが施工まで引き継ぐため、ブランディングや空間演出の意図が完成形までぶれにくくなります。店舗では、コンセプトが内装の細部まで反映されているかで来店客の印象が大きく変わります。
また、設計と施工の準備を並行でき、会社選定や見積もり調整の期間を短縮できる可能性もあります。ただし行政への申請や資材の納期に左右されるため、オープン日や移転日が決まっている場合は早めに全体スケジュールを相談しましょう。
ワンストップ空間デザインのデメリットと注意点
相見積もりによる価格比較がしにくい
設計と施工がセットのため、相見積もり(同じ条件で複数社から見積もりを取ること)で施工費だけを比較することが難しくなります。対策として、見積もりの内訳を項目ごとに開示してもらい、「一式」表記の中身を確認しましょう。複数のワンストップ会社に同条件で相談し、提案内容と概算を比較する方法も有効です。
契約前に費用と対応範囲を確認する必要がある
追加費用や対応範囲の食い違いを防ぐため、契約前に次を確認しましょう。
- 見積もりに含まれない工事や費用の有無
- 追加工事の承認方法と費用の決め方
- 設計変更を依頼した場合の費用の扱い
- 保証期間と引き渡し後の対応範囲
口頭の説明だけで済ませず、契約書や見積書に明記されているかの確認が大切です。
会社の得意分野とチェック体制を見極める必要がある
ワンストップを掲げる会社でも、企画力・施工力のバランスはさまざまです。どの工程も一定水準で対応できるかを実績から読み取りましょう。また、設計と施工が同一企業の場合、第三者によるチェックが標準で入るとは限りません。その分、社内検査や進捗報告の方法、保証体制がどう整っているかを確認しておきましょう。建築士による工事監理(工事が設計図どおり進んでいるかを確認する業務)の体制を契約前に尋ねておくと、品質面の不安を減らせます。
第三者の設計者によるチェックが入らない体制でもあるため、工事内容の報告や進捗共有を丁寧に行っているかどうかも見逃せないポイントです。契約前に、過去の施工事例や検査体制、引き渡し後の保証内容まで確認しておくと、着工後の認識違いを防げます。会社選びの具体的な進め方は【店舗デザインの依頼】失敗しない内装業者の選び方・進め方と相談のコツでも詳しく解説しています。
====================

ワンストップ空間デザイン会社を選ぶポイント
自社の業種・規模に近い実績があるか
飲食店なら厨房設備や保健所対応、オフィスなら働き方に合わせたレイアウトや配線計画など、業種固有のノウハウが仕上がりを左右します。施工事例は写真の印象だけでなく、自社と近い業種・規模で、どの範囲を担当したのかまで確認しましょう。また、予定している工事や設計業務に必要な許可・登録を備えているかも確認しておくと安心です。消防・保健所への申請支援についても、業種や計画に応じて必要な範囲を任せられるか尋ねておきましょう。
物件選定の段階から相談できるか
設備容量の不足や管理規約による工事制限など、物件選びに起因する問題は契約後に判明すると追加費用や計画変更につながります。物件選定段階から相談できる会社なら、契約前に設計・施工上の制約を把握でき、不向きな物件を避けやすくなります。株式会社リスビーでは、物件選定から伴走する「リ・プロローグ」を用意しています。新規出店の流れは店舗出店の流れが分かる!計画から開店までの全工程と進め方、オフィス移転はオフィス移転の流れを徹底解説|計画から移転後までの全工程と期間の目安も参考にしてください。
複数案の提案と丁寧なコミュニケーションがあるか
信頼できる会社は、予算やコンセプトに応じて複数案を示し、資材高騰などの変化にも素材や工事方法の代替案を提示してくれます。返信の早さや打ち合わせ内容の記録共有など、具体的な行動から、発注者を「共創の相手」として扱う姿勢があるかを見極めましょう。
ワンストップ空間デザインの依頼から完成までの流れ
一貫依頼は、一般的に次の6段階で進みます。
- ヒアリング 事業内容やコンセプト、予算を伝えます。要望が未整理でも、対話しながら言語化を手伝ってくれます。
- 物件確認・企画 現地調査で設備条件や工事の制限を確認し、空間のコンセプトを固めます。
- 設計・デザイン レイアウトやデザイン案を、概算見積もりとあわせて検討します。
- 見積もり・契約 内訳や工事範囲、保証条件を確認して契約します。
- 施工 進捗を確認しながら工事を進めます。仕様の変更が必要になった場合は、費用と工期への影響を確認し、発注者の承認を得て書面に残したうえで反映します。担当者が営業から現場へ変わる場合も、窓口が一社なので連絡経路を整理しやすい進め方です。
- 引き渡し 完成検査に立ち会い、仕上がりや設備の動作を確認して保証書などを受け取ります。
用途変更の申請や消防検査など法令上の手続きが必要な場合もあるため、スケジュールは早めにすり合わせましょう。相談のタイミングは物件契約の前が理想です。検討し始めた段階で相談すれば、スケジュールも予算も余裕を持って計画できます。
よくある質問
Q. ワンストップで依頼しても、第三者によるチェックを取り入れることはできますか?
依頼先とは別の建築士や専門家に意見を求めること(セカンドオピニオン)は可能です。契約によって図面の開示範囲が限られる場合もあるため、事前に確認しましょう。
Q. 小規模な店舗やオフィスでもワンストップ依頼はできますか?
小規模案件に対応する会社もありますが、対応可能な規模や最低発注額は会社ごとに異なります。問い合わせ時に自社の規模感を伝え、実績を確認しましょう。
Q. 契約後に設計を変更したくなった場合はどうなりますか?
内容や時期により費用・工期への影響が異なります。変更手続きと費用の決め方を契約前に確認し、変更内容は書面やメールで残しましょう。
Q. 引き渡し後に不具合が見つかった場合の保証はどうなっていますか?
保証の期間や対象範囲は契約内容により異なります。契約前に保証書の内容と、引き渡し後の連絡先・対応の流れを確認しておきましょう。
ワンストップ空間デザインで企画から施工まで納得して進めるために
ワンストップ空間デザインは、窓口の一本化や手戻りの削減が期待できる一方、相見積もりによる価格比較がしにくい点には注意が必要です。契約前に見積もりの内訳や工事監理の体制などを確認し、自社に近い業種・規模の実績があるかも見極めましょう。株式会社リスビーは、物件選定から伴走する「リ・プロローグ」を含め、企画から施工までを一貫体制で支援しています。
初めての出店や移転で不安がある方は、物件を契約する前の早い段階で一度相談してみてください。
====================



