内装工事を検討するとき、最初に気になるのが「いくらかかるのか」という点ではないでしょうか。
- 坪単価だけで総額を判断してよいのか
- 居抜きとスケルトンではどちらが安いのか
- 見積もりの内訳や適正価格が分からない
内装工事の費用は、物件の状態、業種、設備、素材、工事範囲によって大きく変わります。本記事では、一般的な費用相場と坪単価の考え方をはじめ、店舗・オフィス別の違い、見積もりの確認方法、コストを抑えるポイントまで解説します。自社の条件に近い予算感を把握し、無理のない計画を立てるためにお役立てください。

内装工事の費用相場とは?坪単価と総額の考え方
内装工事の費用は坪単価で概算する
坪単価は、内装工事費用を施工面積で割った1坪あたりの金額です。
ただし、国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」でも、居抜き物件・スケルトン物件別の標準的な坪単価は公表されていません。
内装工事の費用は、業種や設備、素材、地域、工事範囲、物件の状態によって大きく変動します。
そのため、坪単価は初期予算を考える参考値として活用し、実際の金額は現地調査と見積もりをもとに判断する実際の金額は現地調査と見積もりをもとに判断するのが基本です。
坪単価に含まれる工事内容は業者によって異なる
同じ坪単価でも、設計、電気・空調工事、家具、機器、看板などが含まれるかは業者ごとに異なります。見積もりでは総額だけでなく、工事内容と除外項目を確認してください。
面積が小さくても坪単価が下がるとは限らない
小規模な店やオフィスでも、現場管理、養生、資材運搬など一定の費用は発生します。厨房や給排水などの設備が必要な場合は、面積が小さいほど坪単価が高くなることもあります。
相場は予算を決める目安として活用する
概算後は、物件図面や現地調査をもとに、レイアウト、設備容量、素材のグレードを具体化します。坪単価だけで判断せず、工事費用の総額と施工範囲をセットで把握しましょう。

居抜き物件とスケルトン物件で内装工事の費用は変わる
居抜き物件は既存の設備や内装を活用できる
居抜き物件は、前のテナントが使用していた床、壁、空調、厨房などを引き継げる物件です。既存設備が事業内容に合い、状態も良ければ、解体や新設の範囲を減らしてコストと工期を抑えられます。
スケルトン物件は工事範囲が広い
スケルトン物件は、内装や設備がほぼない状態から空間をつくります。レイアウトや内装デザインの自由度は高い一方、床・壁・天井、電気、空調、給排水などを整えるため、費用が高くなりやすい傾向です。
居抜き物件でも追加工事が必要な場合がある
既存のレイアウトが合わない場合や、設備容量の不足・配管や空調の劣化があれば、撤去や交換費用がかかります。居抜きという名称だけで判断せず、契約前に設備の状態や使用可能年数を確認しましょう。
工事費用を含む総額で物件を比較する
賃料が安いテナントでも、大規模な設備工事が必要なら初期投資は増えます。物件選定の段階で施工業者に相談し、希望するレイアウトや設備を実現できるか確認しておきましょう。
店舗・オフィスの種類別に見る内装工事の費用相場
オフィス内装
オフィスでは、間仕切り、会議室、受付、床、照明、電源、通信配線などが主な工事内容です。個室の増設、フリーアドレス化、電気容量の変更、防音工事を伴うと費用が増えます。
物販店
物販店は水回り設備が比較的少ない一方、照明、棚、ショーケース、造作家具のグレードで金額が変わります。売場だけでなく、在庫保管やスタッフ動線を含めたレイアウト設計が必要です。
飲食店
飲食店では、厨房機器、給排水、ガス、電気、換気、空調、防水などの設備工事が必要です。重飲食か軽飲食か、調理方法や客席数によって、必要な設備容量と工事内容が変わります。
美容室・クリニック
美容室はシャンプー台や給排水、クリニックは診療内容に応じた機器、配管、個室などが必要です。業種別の費用相場には幅があり、店舗の規模や必要設備によっても変動します。
内装工事費用の主な内訳
設計・内装デザイン費
ヒアリング、現地調査、レイアウト、図面作成、素材や設備の選定にかかる費用です。施工費とは別に計上される場合もあるため、業者へ依頼する範囲を確認してください。
解体・床・壁・天井などの内装工事費
既存部分の解体、間仕切りや下地の造作、床・壁・天井の仕上げなどが含まれます。撤去範囲、施工面積、素材、特注造作の多さによって金額が変わります。
電気・空調・給排水などの設備工事費
照明、コンセント、空調、換気、給排水、ガスなどの施工費用です。設備容量の不足や劣化があると追加工事が必要になるため、現地調査で状態を把握します。
家具・什器・機器の購入・設置費
デスク、棚、カウンター、厨房機器などは、工事見積もりに含まれないことがあります。購入費に加え、配送、搬入、組み立て、固定、電源接続まで予算に入れましょう。
現場管理費や廃材処分費などの諸経費
見積もりには、仮設、解体、造作、仕上げ、設備、廃材処分など複数の項目があります。名称や計上方法は業者によって異なるため、「一式」と記載された項目の内容も確認してください。
内装工事の費用を左右するポイント
物件の状態と既存設備の利用可否
既存の床や空調を利用できれば費用を削減できますが、劣化や容量不足があれば交換費用が加わります。目視だけでなく、設備資料や管理会社への確認も行いましょう。
店舗やオフィスの規模と工事範囲
規模が大きいほど施工量は増えますが、費用は坪数に完全比例しません。全面改装か部分改装か、どこまでを今回の工事範囲にするか明確にする必要があります。
レイアウト変更や造作の多さ
壁の移設、個室、カウンター、収納などの造作が増えると、材料費と施工費が上がります。既存の位置を活用しながら、来客動線とスタッフ動線を整えることがポイントです。
素材・設備・家具のグレード
すべてを高グレードにせず、来客の目に触れる場所、耐久性が必要な場所、交換しにくい設備を優先します。見た目や機能が近い代替素材や既製品も比較しましょう。
建物の規約や工事可能時間などの施工条件
テナントビルでは、指定業者、搬入経路、工事時間、消防申請などの条件があります。夜間工事や作業時間の制限は工期と費用に影響するため、物件契約前に確認してください。
内装工事の見積もりと予算を確認する方法
見積もりに含まれる工事内容を確認する
工事項目、数量、単価、素材、設備の型番、施工範囲を確認します。設計、家具、機器、看板、申請などが別途になる場合は、開業や移転に必要な総予算へ加えましょう。
複数の業者から同じ条件で見積もりを取る
同じ図面、仕様、工事範囲を提示しなければ、金額差の理由を比較できません。最安値だけでなく、提案内容、施工体制、実績、追加費用の条件まで確認してください。
極端に安い見積もりは追加費用を確認する
安い見積もりには、必要な工事が含まれていない、素材や設備のグレードが異なる、管理費が後から加算される可能性があります。差額の理由を具体的に説明できる業者かどうかが判断基準です。
追加工事に備えた予算を確保する
解体後に下地や配管の不具合が判明するなど、着工前に把握しにくい追加工事もあります。予算を使い切る計画は避け、追加費用が発生する条件と承認方法を契約前に決めておきましょう。

内装工事のコストを抑えるコツ
物件選定の段階から内装工事業者へ相談する
契約前に設備容量、管理規約、レイアウトの実現性を確認すれば、工事に不向きな物件を避けられます。後から仕様を削るより、物件選びの失敗を防ぐほうが効果的です。
既存の設備や内装を活用する
状態の良い床、照明、空調、厨房などを利用すると、撤去と新設の費用を削減できます。ただし、性能や使用年数、修理費まで含めて判断してください。
デザインと機能の優先順位を決める
来客の目に触れる場所、業務動線、安全性に関わる設備を優先し、簡素化できる部分を分けます。コンセプトと予算の優先順位が明確なら、仕様変更も進めやすくなります。
素材や設備のグレードを調整する
代替素材、既製家具、中古機器などを比較します。初期費用だけでなく、耐久性、清掃性、修理・交換のしやすさを含む長期的なコストで選びましょう。
設計から施工まで一括対応できる業者を検討する
窓口をまとめると、設計と施工の認識ずれを減らし、仕様変更や予算調整を進めやすくなります。ただし、一括対応なら必ず安いわけではないため、対応範囲と見積もりの透明性を確認してください。
コストを適切に管理するには、価格だけでなく業者の提案力も見極める必要があります。
内装工事業者を選ぶ際の注意点
金額だけでなく見積もりの内容を比較する
工事費用の安さだけで選ばず、必要な工事が過不足なく含まれているか確認します。追加費用の条件、保証、引き渡し後の対応も比較しましょう。
店舗やオフィスの施工実績を確認する
希望する業種や規模に近い施工事例があれば、設備、法規、動線への理解を判断しやすくなります。写真だけでなく、担当した範囲や工事上の課題も確認してください。
設計・設備・施工の対応範囲を確認する
設計、施工、設備、家具、申請のどこまで依頼できるか確認します。別の業者との調整が必要な場合は、責任範囲と連絡窓口を明確にしましょう。
予算に応じた複数案を提案できるか確認する
信頼できる業者は、単に仕様を削るのではなく、目的を保ちながら素材や施工方法の代替案を示します。予算、コンセプト、完成後の運用まで踏まえて説明できるかを確認しましょう。
まとめ|内装工事の費用相場を把握して無理のない予算を立てよう
内装工事の費用は、坪単価だけでなく、居抜き・スケルトンなどの物件状態、業種、規模、設備、素材、レイアウトによって変わります。
相場は初期予算の目安として活用し、現地調査後の見積もりでは工事範囲と内訳を確認しましょう。
複数の業者を同じ条件で比較し、金額差の理由まで把握することが予算超過を防ぐポイントです。費用を抑える場合も、安全性や必要な機能は維持しながら、優先順位を決めて調整しましょう。

参照元
国土交通省
「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和6年度第4四半期受注分、令和6年度計)のPDF」

