オフィス移転時には、各種行政手続きや契約変更など、多くの対応が必要です。必要な届出を忘れると、業務に支障が出たり、罰則を受ける可能性もあるため、適切に進めることが重要です。
本記事では、オフィス移転時に必要な行政手続きや申請期限、注意点を詳しく解説します。事前準備をしっかり行い、スムーズな移転を実現しましょう。

オフィス移転時に必要な手続きをスムーズに進めるポイント
オフィス移転の手続きを滞りなく進めるには、計画的なスケジュール管理と事前準備が不可欠です。必要な手続きを把握し、適切なタイミングで対応することで、移転後の業務に支障を出さずに済みます。
移転手続きを滞りなく進めるための基本の流れ
オフィス移転に伴う手続きは、大きく分けて以下の流れで進めるとスムーズです。
- 移転前に必要な手続きを整理(3~6か月前)
- 契約関連(新オフィスの契約・旧オフィスの退去手続き)
- 各種届出のリストアップ(行政機関・取引先・インフラ関連など)
- 物件の原状回復工事の計画
- 移転直前に申請・変更手続きを実施(1か月前~移転当日)
- 行政機関への届出(法務局・税務署・労働基準監督署など)
- 電話・インターネット回線の手配
- 郵便物転送の申請
- 移転後に最終確認を行う(移転後~2週間以内)
- 住所変更が正しく反映されているか確認
- 取引先・関係各所へ新住所の周知
- 移転後の業務開始準備
事前準備が重要!手続きを効率化するためのチェックリスト
移転前の準備段階で、以下の項目をリスト化し、スケジュールを組んで進めましょう。
- 必要な届出のリストアップと申請期限の確認
- 新オフィスの契約内容の最終チェック(敷金・保証金・賃料・原状回復条件など)
- 旧オフィスの退去日・原状回復工事のスケジュール調整
- インターネット・電話回線の契約更新や変更手続き
- 移転に伴う業務の一時停止・再開の計画立案
事前にスケジュールを立てておくことで、申請漏れや手続きの遅れを防ぎ、スムーズな移転が実現できます。
オフィス移転に関する主要な行政手続きと申請期限
オフィスを移転すると、法人登記や税務関連、労務関連など、多くの行政手続きが必要です。届出の期限が決まっているものも多いため、適切なスケジュールで進めましょう。
税務署への届出(移転後10日以内)
法人の住所変更を行った場合、税務署に「異動届出書」を提出する必要があります。提出先は移転前・移転後の両方の税務署です。
- 必要書類:異動届出書、登記簿謄本の写し
- 提出期限:移転後10日以内
- 届出先:移転前・移転後の税務署
法務局での登記変更手続き(移転後2週間以内)
法人の住所が変更される場合、法務局で「本店移転登記」を申請しなければなりません。これを怠ると、登記簿の記載内容に不備が生じ、法人の信用に影響を与える可能性があります。
- 必要書類:登記申請書、株主総会議事録または取締役会議事録など
- 提出期限:移転後2週間以内
- 届出先:移転先の法務局
労働基準監督署・年金事務所・ハローワークへの手続き
従業員を雇用している場合、労働基準監督署・年金事務所・ハローワークで事業所の変更届を提出する必要があります。
提出先 | 届出書類 | 提出期限 |
労働基準監督署 | 労働保険名称所在地等変更届 | 変更後速やかに |
年金事務所 | 厚生年金保険適用事業所所在地変更届 | 変更後5日以内 |
ハローワーク | 雇用保険事業所各種変更届 | 変更後10日以内 |
消防署・警察署・防災関連の届出
オフィスの規模や業務内容によっては、消防署や警察署への届出が必要になる場合があります。特に、防火対象物の使用に関する届出は、建物の構造や用途によって義務付けられているため、事前に確認しましょう。
- 防火対象物使用開始届(消防署):新オフィスでの業務開始7日前までに提出
- 防火管理者選任届(消防署):新オフィスで業務を行う場合、必要に応じて提出
必要な行政手続きを適切なタイミングで行い、スムーズな移転と事業運営を実現しましょう。
オフィス移転に伴う実務的な手続きと注意点
行政手続きに加え、オフィス移転では取引先への連絡や各種契約変更など、実務的な手続きも重要です。これらをスムーズに進めることで、移転後の業務が滞るリスクを減らせます。
取引先・関係各所への住所変更の通知
オフィス移転が決まったら、取引先や顧客へ新住所を通知しましょう。
- 通知タイミング:移転の1~2か月前が目安
- 通知方法:書面・メール・ホームページ・SNSなど
- 記載すべき内容
- 新住所(ビル名・階数・郵便番号を含む)
- 電話番号・FAX番号の変更有無
- 業務開始日
主要取引先には個別に連絡し、必要な手続きについて相談するとスムーズです。
銀行口座・クレジットカード・公共料金の登録情報更新
オフィスの住所が変更されると、金融機関や公共サービスの契約内容も更新が必要になります。
- 変更手続きが必要なもの
- 法人口座の登録住所(銀行・クレジットカード会社)
- 電気・水道・ガス・インターネット・電話回線の契約情報
- 通販サイト・会員サービスの請求先住所
金融機関への届出は、書類の準備が必要になることが多いため、早めに対応しましょう。
電話回線・インターネット回線の契約変更手続き
電話やインターネット環境の変更手続きは、遅れると業務に大きな影響を与えるため、移転前に完了させることが重要です。
- 移転前の確認事項
- 現在の契約が移転先で利用可能か
- 解約・変更にかかる費用や手続きの流れ
- 工事が必要かどうか(新オフィスの設備状況を確認)
特にインターネット回線の移転工事には時間がかかることがあるため、2~3か月前には申請を行いましょう。
郵便物転送サービスの申請方法
移転後、旧オフィスに届く郵便物を新住所へ転送する手続きを行うことで、重要な書類の紛失を防げます。
- 申請方法:郵便局で「転送届」を提出(オンライン申請も可能)
- 転送期間:申請後1年間
- 手続きのタイミング:移転の2週間前までに申請
移転後すぐに業務を開始できるよう、取引先への通知や通信環境の整備を確実に進めましょう。

移転後に確認すべき最終チェック項目
オフィス移転が完了した後も、業務をスムーズに開始するための確認作業が必要です。手続きを終えたつもりでも、細かな部分で漏れが発生することがあるため、チェックリストを活用しながら進めましょう。
原状回復工事と退去時の手続き
旧オフィスの契約内容に基づき、原状回復工事が必要かを確認し、適切に対応しましょう。
- 契約書の確認:原状回復義務の範囲を再チェック
- 工事スケジュールの管理:退去日までに完了するよう調整
- 立ち会い検査:オーナーや管理会社と最終確認を行う
原状回復工事が完了し、鍵の返却や敷金の清算手続きを終えることで、正式な退去となります。
移転後の業務開始前に行うべき確認事項
新オフィスでの業務をスムーズに開始するため、以下の点をチェックしましょう。
- 通信環境(電話・インターネット)の動作確認
- 社内設備(OA機器・電気・水道・空調)の稼働チェック
- 取引先・関係者への新オフィス移転通知の最終確認
- 郵便物・宅配物の転送手続きの完了
特に、通信環境や社内設備にトラブルがあると、移転後すぐに業務を開始できない可能性があるため、優先的に確認しましょう。
移転後の最終チェックを徹底し、新オフィスでの業務を円滑にスタートさせましょう。
まとめ!スムーズなオフィス移転を実現しよう
オフィス移転では、行政手続き・契約変更・関係者への通知など、多くの手続きが必要です。漏れがあると業務に支障をきたすため、スケジュールを立てて計画的に進めることが重要です。
オフィス移転手続きのチェックポイント
- 行政手続き:税務署・法務局・労働基準監督署・年金事務所・消防署などへの届出
- 契約・登録変更:銀行口座・クレジットカード・公共料金・通信回線の住所変更
- 関係者への通知:取引先への案内、郵便物転送の手続き
- 移転後の確認:原状回復工事の完了、新オフィスの通信環境・設備のチェック
事前にしっかり準備し、必要な手続きを確実に進めることで、スムーズな移転が実現できます。
