事務所移転の際は、取引先や顧客、社内関係者に適切な案内を行うことが大切です。案内が不十分だと、業務の混乱や信頼関係の悪化につながる可能性があります。
本記事では、案内状やメールの例文、送るタイミング、記載すべき内容、マナーについて解説します。社内・社外向けの具体例も紹介するので、スムーズな移転の参考にしてください。

事務所移転の案内はなぜ重要?
事務所の移転は、取引先や顧客、社内関係者にとって大きな変更点となります。**適切な案内を行わないと、業務に支障が出たり、相手に不信感を与えたりする可能性があります。**スムーズな移転のためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- 業務に支障を出さないための配慮
取引先や顧客に新しい住所や連絡先を適切なタイミングで伝えないと、郵送物が届かない、連絡が取れないといったトラブルが発生する可能性があります。 - 社内の混乱を防ぐ
社員が移転に関する情報を把握していないと、問い合わせ対応に手間取るなど業務に影響を与えかねません。 - 企業イメージを損なわないための対応
事務所移転の案内が遅れたり、失礼な文面で送られたりすると、取引先との関係に悪影響を及ぼすこともあります。
移転の案内は、関係者に負担をかけず、スムーズに移転を進めるための重要な業務です。適切な方法で周知し、トラブルを防ぎましょう。
事務所移転の案内状・メールを送るタイミングと準備
事務所移転の案内は、送るタイミングと内容の準備が重要です。適切なスケジュールを立て、必要な情報を整理しておくことで、スムーズな移転を実現できます。
送付時期の目安と計画の立て方
案内の送付時期は、遅すぎると混乱を招き、早すぎると忘れられる可能性があるため、適切なタイミングを見極めることが大切です。
送付時期 | 対象 | 内容 |
2〜3か月前 | 主要取引先・重要顧客 | 事前告知と口頭での連絡 |
1〜2か月前 | 一般取引先・関係者 | 公式な案内状・メールの送付 |
1週間前〜当日 | 社内・関係業者 | 最終確認とリマインド通知 |
特に、主要な取引先には早めに連絡し、疑問点や調整が必要な場合に対応できるようにしておきましょう。
案内状・メール作成前に確認すべきチェックリスト
移転の案内を作成する際は、以下の内容を整理しておくとスムーズです。
- 移転日(何月何日から新オフィスで業務開始か)
- 新住所(ビル名・階数・郵便番号も含める)
- 電話番号・FAX番号の変更有無
- メールアドレスや問い合わせ先の変更有無
- 新オフィスの最寄り駅やアクセス情報
- 業務開始時間の変更があるか
- 移転に伴う一時的な業務停止の有無
これらの情報を整理し、誤りがないか社内で確認した上で案内を送ることが大切です。
取引先・顧客向けの事務所移転案内の書き方と例文
取引先や顧客に事務所移転を知らせる際は、正式な文面で分かりやすく伝えることが大切です。書面・メールそれぞれのポイントと、具体的な例文を紹介します。
書面で送る案内状の構成とポイント
正式な取引先には、書面(案内状)での通知が基本です。案内状の構成は以下のとおりです。
- 挨拶と移転の報告
- 新住所・連絡先の記載
- 業務開始日・変更点の案内
- 今後の変わらぬ取引のお願い
- 締めの挨拶
案内状の例文(取引先向け)
件名: 事務所移転のご案内
拝啓
貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社は業務拡大に伴い、下記の通り事務所を移転することとなりましたのでご案内申し上げます。
【新事務所情報】
所在地:○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○ビル○階
電話番号:○○-○○○○-○○○○(変更なし)
FAX番号:○○-○○○○-○○○○(変更なし)
業務開始日:○月○日(○曜日)
今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○
メールで送る場合の文面と注意点
メールの場合、簡潔かつ重要な情報がすぐに分かるように記載します。
メールの例文(顧客向け)
件名: 【重要】事務所移転のお知らせ
平素より大変お世話になっております。○○株式会社の○○です。
このたび、弊社は○月○日より下記の住所へ移転することとなりました。
【新事務所情報】
新住所:○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○ビル○階
電話番号・FAX番号:変更なし
業務開始日:○月○日(○曜日)
お手数をおかけしますが、登録情報の変更などご対応をお願いいたします。
今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
○○株式会社
担当:○○ ○○
E-mail: xxx@xxx.co.jp
件名の付け方で開封率を上げる方法
メールの件名は、「事務所移転のご案内」「【重要】住所変更のお知らせ」など、分かりやすい表現にするのがポイントです。また、取引先の担当者に確実に読んでもらうため、**「○○株式会社 事務所移転のお知らせ」**のように社名を入れるのも効果的です。
社内向けの事務所移転案内の作成方法と例文
社内向けの移転案内は、従業員がスムーズに対応できるよう、業務に関わる情報を的確に伝えることが大切です。特に、移転後の業務フローや通勤ルートの変更点を明確にすることで、社内の混乱を防ぐことができます。
社内メール・掲示用の案内文の書き方
社内向けの案内は、メールや社内掲示板を活用し、必要な情報を全社員が把握できるようにするのがポイントです。
記載すべき主な内容
- 移転日と新オフィスでの業務開始日
- 新オフィスの住所とアクセス情報(最寄り駅・バス路線など)
- 電話番号・メールアドレスの変更有無
- 移転当日のスケジュール(出社方法・作業分担など)
- 移転に伴う業務への影響(システム停止・ネットワーク切り替えなど)
社内向け移転案内メールの例文
件名: 【重要】事務所移転のお知らせ(○月○日移転)
各位
平素よりご協力いただき、誠にありがとうございます。
このたび、○○事業所(本社)の移転が決定しましたので、ご案内いたします。
【新オフィス情報】
移転日:○月○日(○曜日)
新住所:○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○ビル○階
最寄り駅:○○線 ○○駅 徒歩○分
代表電話番号:変更なし
移転当日は、○○時までに旧オフィスに集合し、荷物整理および移転作業を行います。詳細なスケジュールについては、後日改めてご連絡いたします。
ご不明点がございましたら、○○(担当者名)までお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
○○株式会社 ○○部
担当:○○ ○○
従業員向けの情報共有で注意すべき点
- 早めに通知し、移転に伴うスケジュール変更に対応できるようにする
- 出社ルールや新しいオフィスの設備について明確に説明する
- 移転当日の業務スケジュールを周知し、混乱を避ける
- 問い合わせ窓口を設置し、従業員の疑問に迅速に対応する
社内向けの案内は、従業員が安心して移転準備を進められるよう、具体的な情報を簡潔に伝えることが重要です。

事務所移転の案内に必要な情報と記載例
移転案内には、正確で分かりやすい情報を記載することが重要です。記載漏れや誤りがあると、取引先や従業員に混乱を招く可能性があるため、必要な情報を整理しておきましょう。
必ず伝えるべき基本情報一覧
移転案内に記載すべき項目は以下のとおりです。
- 移転日(新オフィスでの業務開始日)
- 新住所(ビル名・階数・郵便番号を含む)
- 電話番号・FAX番号の変更有無
- メールアドレス・問い合わせ先の変更有無
- 新オフィスの最寄り駅・アクセス方法
- 移転に伴う業務停止期間の有無
- 来客・配送対応に関する案内(受付方法や駐車場の有無など)
記載例(社外向け)
件名: 事務所移転のお知らせ
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社は下記のとおり事務所を移転し、○月○日より新オフィスにて業務を開始することとなりましたので、ご案内申し上げます。
【新事務所情報】
移転日:○月○日(○曜日)
新住所:〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○ビル○階
電話番号:○○-○○○○-○○○○(変更なし)
FAX番号:○○-○○○○-○○○○(変更なし)
業務開始日:○月○日(○曜日)
最寄り駅:○○線「○○駅」徒歩○分
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○
記載例(社内向け)
件名: 【社内連絡】事務所移転のお知らせ
各位
平素よりお世話になっております。
このたび、弊社○○事業所(本社)は下記の住所へ移転することとなりました。
【新オフィス情報】
移転日:○月○日(○曜日)
新住所:〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○ビル○階
代表電話番号:変更なし
最寄り駅:○○線「○○駅」徒歩○分
移転当日は、○○時までに旧オフィスに集合し、荷物整理および移転作業を行います。詳細なスケジュールについては、後日改めてご連絡いたします。
ご不明点がございましたら、○○(担当者名)までお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
○○株式会社 ○○部
担当:○○ ○○
問い合わせ先・アクセス情報の明記方法
- 問い合わせ窓口を明確にする(社外向けには代表番号、社内向けには担当部署を記載)
- アクセス情報を具体的に記載する(駅からの徒歩時間、主要道路からのルートなど)
- 駐車場の有無を明記する(来訪者向けに案内する場合)
事前に関係者と確認し、正確な情報を記載することでトラブルを防ぎ、スムーズな移転を実現できます。
失礼のない移転案内を作るためのマナーと注意点
事務所移転の案内は、相手に配慮した丁寧な文面と適切な伝え方が求められます。不適切な表現や送付ミスがあると、取引先や顧客に悪い印象を与える可能性があるため、注意が必要です。
取引先に配慮した文面の工夫
案内状やメールを送る際は、形式に沿った挨拶や表現を用いることが重要です。
- 日頃の感謝を伝える
「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」など、移転のお知らせだけでなく、普段の感謝を添えると好印象につながります。 - 相手に配慮した言葉遣いを心掛ける
砕けすぎた表現を避け、敬語やビジネスマナーを意識した丁寧な文章を使用する。 - 今後の取引継続への意欲を示す
「今後とも変わらぬお引き立てのほどお願い申し上げます」といった一文を加えることで、移転後も良好な関係を維持できる。
略式と正式な案内の使い分け
案内の形式は、相手との関係性によって適切な方法を選ぶことが重要です。
案内方法 | 適用ケース | 特徴 |
正式な案内状(書面) | 主要取引先・顧客 | 形式に沿った丁寧な文章が求められる |
メールでの案内 | 一般取引先・関係者 | 簡潔に伝えられ、迅速な対応が可能 |
社内掲示・チャットツール | 従業員向け | 必要事項を端的にまとめ、情報共有を徹底 |
たとえば、長年の取引がある企業には正式な書面での案内を送るのが適切ですが、頻繁に連絡を取る取引先や関係者にはメールでの案内でも問題ありません。
誤解を招かないためのチェックポイント
案内を送る前に、以下の点を確認しましょう。
- 新住所・電話番号・FAX番号に誤りがないか
- 案内状の宛名や担当者名が正しいか
- 送付先に間違いがないか(不要な一斉送信を避ける)
- 送付時期が適切か(早すぎず、遅すぎないタイミング)
- 問い合わせ先を明記しているか
送付前に社内でダブルチェックを行い、誤記や不備を防ぐことで、相手に失礼のない案内を作成できます。
まとめ!スムーズな事務所移転のために適切な案内を行おう
事務所移転の案内は、取引先や顧客、社内関係者に適切なタイミングで正確な情報を伝えることが重要です。不十分な案内は混乱を招き、信頼関係に影響を及ぼす可能性があるため、丁寧な対応を心掛けましょう。
事務所移転案内のチェックリスト
移転案内を送る前に、以下のポイントを確認してください。
- 移転日や新住所に誤りがないか
- 電話番号・FAX番号・メールアドレスの変更有無を明記しているか
- 案内の送付タイミングが適切か(2~3か月前の事前告知、1か月前の正式案内)
- 社内向け・社外向けで適切なフォーマットを使い分けているか
- 問い合わせ先を明記し、連絡がスムーズに取れるようにしているか
適切な案内を行うことで、取引先との信頼関係を維持し、社内の混乱を防ぎながら円滑な移転を実現できます。準備をしっかり整え、スムーズな移転を目指しましょう。
