オフィス移転を考え始めたものの、いつ動くべきか判断できず、準備を先延ばしにしていませんか。移転のタイミングを誤ると、希望する物件や業者を確保できないだけでなく、二重賃料や工事の遅れによって費用と社員の負担が増える可能性があります。
- 契約更新の何か月前から検討すべきか分からない
- 費用を抑えやすい移転時期を知りたい
- 物件選定や工事に必要な期間を把握したい
本記事では、オフィス移転を検討すべきサイン、実施に適した時期、準備開始の目安、契約や原状回復の注意点を解説します。自社に合うタイミングを判断し、移転日から逆算した無理のないスケジュールを立てられるようになります。

オフィス移転を検討すべきタイミング
現オフィスの契約更新が近づいている
現オフィスの契約更新は、移転の必要性を見直す代表的なタイミングです。更新後すぐに解約すると、契約条件によっては違約金や余分な賃料が発生する可能性があります。
オフィスでは退去日の数か月前に解約予告を求められるケースがありますが、契約によって異なるため、契約書の記載を確認することを忘れないようにしましょう。
社員数とオフィスの広さが合わなくなった
社員の増加によって座席や会議室が不足している場合は、業務効率や働きやすさに影響します。一方、テレワークの定着や社員数の減少によって使わないスペースが増えている場合は、必要以上の賃料を支払っている可能性があります。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 座席や会議室が不足していないか
- 通路や収納スペースが狭くなっていないか
- 使用していない席や部屋が増えていないか
- 今後の採用計画に対応できる広さか
新オフィスの規模は、現在の社員数だけでなく、将来の増員や組織変更も考慮して決定する必要があります。
賃料や維持コストの負担が大きくなった
賃料や共益費、設備の維持費が経営を圧迫している場合も、オフィス移転を検討するタイミングです。ただし、賃料が安い物件へ移れば、必ずコストを削減できるとは限りません。
移転時には、主に次の費用が発生します。
- 新オフィスの契約費用
- レイアウト設計・内装工事費用
- 引越し業者への依頼費用
- 家具・什器の購入費用
- 電話・インターネット工事費用
- 現オフィスの原状回復費用
移転費用と移転後のランニングコストを整理し、現オフィスを改装する場合とも比較して判断しましょう。
働き方や企業の目的と環境が合わなくなった
テレワークやフリーアドレスを導入したにもかかわらず、固定席を前提としたレイアウトのままでは、空間を有効に活用できません。
建物の老朽化、耐震性能、空調設備、周辺環境への不安も判断材料になります。
移転の必要性は、広さや賃料だけでなく、事業や働き方に適した環境かという視点でも判断しましょう。

オフィス移転を実施するのに適した時期
費用を抑えたい場合は繁忙期を避ける
3月は、引越し需要や企業の移転が集中しやすい時期です。
希望する日時に引越し業者を確保できなかったり、同じ作業内容でも費用が高くなったりする可能性があります。
決算や契約更新に合わせて時期を決める
決算期や予算年度に合わせて移転すると、社内で費用を管理しやすくなる場合があります。ただし、経理上の都合だけで移転時期を決めると、物件選定や工事の期間が足りなくなる可能性があります。
現オフィスの契約更新日、新オフィスの契約開始日、賃料の発生日、原状回復の完了期限を一覧にし、費用とスケジュールの両面から検討しましょう。
契約更新日は移転を考えるきっかけですが、その日から準備を始めるのでは遅い可能性があります。
業務への影響を抑えるなら連休や閑散期を選ぶ
土日や大型連休に引越し作業を行えば、通常業務を停止する期間を抑えやすくなります。
ただし、大型連休は同じ目的で移転を希望する企業がいる可能性が考えられるため、早めに引越し業者や工事業者を選定しなければなりません。
また、荷物の搬入が完了しても、電話、インターネット、複合機、社内システムが利用できなければ、業務を開始できません。移転日だけでなく、新オフィスで通常業務を再開できる日を基準に計画するようにしましょう。
組織変更や新年度から逆算する
新年度、新規事業、部署再編などに合わせて移転する場合は、社員への説明や新オフィスの運用準備も必要です。入社や異動が集中する直前に引越しを行うと、荷造りや手続き、社員教育が重なり、社内の負担が大きくなります。
座席の使い方、会議室の予約方法、入退室方法などの運用ルールまで整え、社員がスムーズに業務を始められる時期を設定しましょう。

移転を実施する時期の候補が決まったら、物件選定や工事に必要な期間を逆算し、準備を始めるタイミングを決定します。
オフィス移転の準備はいつから始めるべきか
一般的には6か月~1年前を目安にする
オフィス移転では、検討開始から移転完了まで6か月~1年程度を目安にしてください。
移転規模や物件の条件、工事内容によって必要な期間は変わるため、必ずしも6か月で完了できるわけではありません。
主な作業の流れは次のとおりです。
- 移転目的と予算の決定
- プロジェクトチームの立ち上げ
- 物件情報の収集と内覧
- 新オフィスの契約
- レイアウト・デザインの決定
- 内装・電気・通信工事
- 家具・什器の発注
- 引越しと原状回復
前の作業が遅れると、その後の工程にも影響します。全体の流れを確認し、各作業の完了時期を明確にしましょう。
規模が大きい移転は1年以上前から検討する
社員数が多い会社や、大規模な工事を伴うオフィス移転では、1年以上前からプロジェクトを始める必要があります。関係部署が増えるほど、要望の整理や社内決定に時間がかかるためです。
条件に合う物件がすぐに見つかるとは限らず、特注家具や設備にも製作・納品期間があります。移転規模が大きい場合は、希望日から単純に逆算するだけでなく、物件選びや社内調整の予備期間を設けましょう。
現オフィスの解約予告期間を確認する
解約予告を出す前に、新オフィスの候補や入居時期を明確にしておきましょう。
移転先が決まっていない状態で解約すると、退去期限までに物件を決定しなければならず、賃料や立地、設備などの条件を妥協する原因になります。
一方、新オフィスを早く契約しすぎると、新旧両方の賃料を支払う期間が長くなります。
解約予告期間、新オフィスの入居可能日、工事期間、現オフィスの退去日を並べて確認し、手続きの順番を決めましょう。
物件選定・設計・工事の期間を確保する
物件が決定しても、すぐに新オフィスへ入居できるとは限りません。
座席や会議室を配置できるか、電気容量や空調設備が足りるか、希望する内装工事が認められるかを確認する必要があります。
物件決定後に必要な作業には、次のようなものがあります。
- レイアウトと内装デザインの作成
- 工事区分や施工条件の確認
- 見積もりの比較と業者選定
- 内装・電気・電話・LAN工事
- 家具・什器の選定と発注
- 検査と引き渡し
物件を契約してからレイアウトを考えるのではなく、契約前に必要な空間や工事を実現できるか確認しておきましょう。
オフィス移転のタイミングを決める際の注意点
新オフィスが決まる前に解約しない
現オフィスを先に解約すると、退去期限までに新オフィスを確保しなければなりません。希望に合う物件が見つからない場合、条件を妥協したり、一時的な仮オフィスを用意したりする可能性があります。
二重賃料と原状回復の期間を見込む
新オフィスの内装工事中も賃料が発生し、同時に現オフィスの賃料を支払う期間が生じることがあります。二重賃料を予算に含めていなければ、移転費用が想定以上に膨らみます。
原状回復については、次の項目を確認しましょう。
- 工事を完了させる期限
- 原状回復が必要な範囲
- 指定業者の有無
- 見積もりと発注の時期
- 明け渡し確認の方法
原状回復を契約期間内に終える条件もあるため、引越し後に工事を始められるよう、早めに計画する必要があります。
繁忙期は業者や資材を確保しにくい
引越し業者を確保できても、内装工事や電話・ネットワーク工事が間に合わなければ、予定日に業務を開始できません。家具、什器、建材、設備機器も、商品や仕様によって納期が異なります。
確認すべき項目は次のとおりです。
- 引越し業者の対応可能日
- 内装・設備工事の施工期間
- 電話・回線工事の予約状況
- 家具・什器の製作期間
- ビル側の工事申請期限
- 搬入可能な曜日と時間帯
日程には予備期間を設け、いずれかの作業が遅れても全体のスケジュールを調整できるようにします。
移転日を優先して物件やレイアウトを妥協しない
希望時期を最優先すると、立地や賃料だけで物件を決め、契約後に必要な座席数や会議室を確保できないと判明する可能性があります。電気容量、空調、天井高、工事区分などによって、希望するデザインや設備を実現できないケースもあります。
物件契約前に簡易レイアウトを作成し、動線、収納、設備、工事費用まで確認しましょう。適切な移転時期とは、予定日に間に合う時期ではなく、移転目的を実現できる物件と空間を十分に検討できる時期です。

適切なタイミングでオフィス移転を進めるポイント

オフィス移転の目的を明確にする
最初に、なぜ移転するのかを明確にします。賃料削減、社員の増加、業務効率の改善、コミュニケーションの活性化、採用力や企業イメージの向上など、目的によって適した物件やレイアウトは異なります。
目的が曖昧なままでは、複数の物件やデザイン案を比較する基準が定まりません。経営側の方針と社員の要望を整理し、優先順位を決めておくことが、スムーズな意思決定につながります。
プロジェクトチームを早めに立ち上げる
オフィス移転では、総務だけでなく、経営、経理、人事、情報システムなど複数の部署が関わります。プロジェクト責任者と決裁者を明確にし、誰がどの作業を担当するのか決定しましょう。
担当者が通常業務と移転作業を兼任する場合は、負担が集中しない体制づくりも重要です。定期的に進捗を確認し、決定事項や変更点を社員へ共有することで、移転直前の混乱を防ぎやすくなります。
スケジュールとチェックリストを一元管理する
オフィス移転の作業は、契約、工事、引越し、住所変更など多岐にわたります。次の情報を一つのチェックリストで管理しましょう。
電話・インターネット回線の手配、家具・什器の発注、社員への説明、取引先への案内、各種届出など、移転直前に集中しやすい作業も早めに登録します。
物件選定の段階から専門業者へ相談する
物件選定と設計・工事を別々に進めると、契約後にレイアウトや設備の問題が判明する可能性があります。物件内覧の段階で専門業者へ相談し、希望する座席数や動線、デザイン、設備を実現できるか確認しましょう。
企画、設計、デザイン、施工を一括で対応できる会社であれば、複数業者との情報共有や工程調整を一本化しやすくなります。社内担当者の負担を抑えながら、費用とスケジュールの全体像を確認してプロジェクトを進められます。
まとめ|オフィス移転は契約と工事期間から逆算して計画しよう
オフィス移転のタイミングは、安い時期や空いている月だけで決めるものではありません。現オフィスの契約更新や解約予告、社員数、賃料、働き方、事業計画を整理し、業務開始日から物件選定、レイアウト、工事、引越し、原状回復の期間を逆算して計画を立てましょう。
準備期間は6か月~1年程度が一つの目安ですが、規模や条件によっては1年以上必要です。移転日だけでなく、社員が支障なく業務を開始できる日を基準に、余裕を持って計画しましょう。


